神前式には、親族だけでなく親しい友人も招待したいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、親族のみが参列するイメージが強く、友人を招待できるのか気になる方も多いはず。
今回は、神前式に友人を招待する際のしきたりや決まり事などについて解説しています。
友人を招待できないケースも取り上げているので、神前式への友人参列を願う方はぜひ参考にしてください。
神前式に友人は参列できる?しきたりをチェック
そもそも、神前式に友人の参加は可能なのでしょうか。神前式のしきたりについて解説します。
- 神前式の歴史
- 神前式に参加できるのは親族のみ
- 友人は神前式に参列できないケースが多い
1つずつ見てみましょう。
神前式の歴史
婚約した男女二人が日本古来の神様の前で永遠の愛を誓う結婚の儀式、それが神前式です。神社で神主のもとで行われる純和風の神前式の歴史は意外にも新しく、現在の形式が日本全国に広まったのは明治33年の皇太子(のちの大正天皇)ご婚礼の儀からといわれています。
すなわち、明治時代の皇太子ご婚礼の儀の様式が次第に庶民に伝わり、現在の神前式の様式になったとのことです。
ちなみに、それ以前は花婿の実家に花嫁が「嫁入り」し、親族や近隣の知人たちを大勢呼んで数日間の盛大な宴が催されていたといわれています。
神前式に参加できるのは親族のみ
神前式は、格式を重んじて厳粛なしきたりのもとに行われるものです。日本の神社の多くが、神前式での参列者を新郎新婦の親族のみとしています。これは「結婚とは新郎新婦両家と結びつき」という日本古来の考え方に起因しています。
すなわち神前式とは、新郎新婦の結婚を神様に報告すると同時に、両家が親族となる厳粛な儀式でもあるわけです。
神前式に参列する親族は、新郎新婦の身内の中で特に血のつながりが濃い血縁者が優先されます。両親、兄弟、祖父母、おじ、おば、いとこの一親等から順で選び、席に余裕があればその他の親戚を呼ぶというのが一般的です。
人前式やキリスト教の教会式とは異なり、参列者に制約があるため気軽に友人を招待するのは難しいでしょう。
なお、神前式では参列した両家の親族の紹介があるので、新郎新婦側の参列者の数をできるだけ同じになるように事前に打合せするのが基本です。
友人は神前式に参列できないケースが多い
神前式に親族以外の友人が参列できないのは、物理的な事情もあります。神社の神殿はそれほど広くないため、友人や知人を参列させるスペースがありません。
また、現代の結婚式は挙式と披露宴をセットにしてホテルや専門施設で行われることが多く、これらの場所では神前式用の式場があまり広くないため、神前式は親族のみと制限しているケースが多いというわけです。
ただし、神道では神前式の参列者を制限するという宗教的な縛りはありません。したがって、式場が広く席に余裕があれば親族以外の参列を認めているところもあります。
神社によってはスペースの問題ではなく伝統と格式を優先させているところもあるため、事前に友人が参列できるかどうかを神社に問い合わせておくといいでしょう。
神前式に友人を招待するには
神前式は、新郎新婦の結婚の儀式であると同時に両家が親族となる契りの儀式です。しかしながら、時代の流れと共に「神前式は家同士の契りの儀式」という側面は薄れてきており、新郎新婦も「親しい友人やお世話になった方を神前式に呼びたい」という思いが強くなってきています。
ここでは、神前式に友人を呼びたいと考える方に、近年の傾向や神社選びについて解説します。
最近の神社の傾向
伝統と格式を重んじる神社では「神前式はあくまで家と家との結びつきの儀式」という考えが強く残っており、原則として親族以外の参列は認められていません。
しかし、近年は核家族化が進んだことで庶民の結婚観も次第に変容してきています。
旧い伝統を尊重しつつも、晴れ舞台となる神前式に友人を招待したいという新郎新婦の願いに応えて、現在は親族以外の友人や知人も参加できる神社も増加傾向。ホテルや専門施設でも「親族以外も参列可」というところも多いようです。
神前式に友人を呼びたいという新郎新婦にとっては、希望が通りやすい環境になってきているといえるでしょう。
友人が参列できる神社を選ぶ
近年は、純和風の神前式での挙式に憧れ、来日して神社で神前式を挙げる外国人もいるほどです。参列者については、席数を超えなければ親族でなくても許容している神社が多くなっています。
友人にも参列してほしいなら、神社選びが重要です。まずは場所と神社の雰囲気からいくつかピックアップして、参列者の席数と親族以外の参列が可能かどうか問い合わせてみるのがよいでしょう。
どうしても適当な神社が見つからない場合は、友人参加OKの神前式で挙式できるホテルか専門施設を探してみるのも選択肢のひとつです。
神前式に友人を招待する場合の4つの注意点
もともと神前式は新郎新婦の家同士が親族関係になることを神前で誓い合う儀式であるため、本来は他人である友人が参列することはご法度であった伝統があります。友人の参列もOKという神社が増えてきてはいますが、参列する友人には伝統やしきたりの意義を深く理解して参列することが求められます。
神前式に友人を招待する際の注意点は、以下の4つです。
- 友人を招待することについて親族の承諾を得る
- 招待状には神前式への参列について明記する
- 神前式の式次第について友人には事前に説明しておく
- 露宴や食事会の場所は挙式会場の近くを選ぶ
神社や式場側が友人の参列OKの場合であっても、ただ招待するだけではなく準備と根回しが必要です。詳しく解説します。
1.友人を招待することについて親族の承諾を得る
神前式で友人が参列することについての障害は、場所ではなく格式やしきたりを重んじる親族の意向によるものが大きいという側面もあります。神前式には親族同士の紹介があることから、その場に他人がいることに抵抗感を示す人もいるでしょう。
また、友人が参列してもただ見ているだけになってしまうので申し訳ないと考える親族の方もいます。
神前式に友人を招待したい場合は、事前に親族に引き合わせておくなど根回ししておくといいでしょう。
招待する友人の人柄や新郎新婦との関係など、神前式に招待してもよいほどの人物であることを親族に理解してもらうことが大切です。
2.招待状には神前式への参列について明記する
神前式に友人を招待するための招待状については「神前式と披露宴の両方への参列であること」を明確に記載しましょう。
単に神前式への招待という書き方では、披露宴のみと勘違いされてしまうからです。招待状を送るだけでなく、事前に口頭にて神前式への参列であることを伝えて念押ししておくことも忘れてはなりません。
招待状を2種類印刷するのが大変であれば、通常の招待状の語尾に「神前式にもぜひご参列ください」と手書きで書き添える形式でもよいでしょう。
3.神前式の式次第について友人には事前に説明しておく
神前式では親族一同が盃を交わす儀式があり、出席する役目があります。友人が参列する神前式であっても、親族のみで執り行う神前式と式次第は同じです。
友人は式を見ているだけで発言したり儀式に参加したりしないため、不安に思ってしまう可能性があります。友人には、事前に式の進行について説明しておく必要があるでしょう。
神前式は友人の控室も用意されていないことが多いため、参加については強制せず「よかったら参加してください」といったニュアンスのほうがいいかもしれません。
神前式の流れについては、別記事「神前式の流れ10ステップを儀式の内容とともに解説!お得なプランも紹介」にて解説しているので、ぜひご覧ください。
4.披露宴や食事会の場所は挙式会場の近くを選ぶ
神社で挙式する場合、披露宴会場が併設されておらず、自分たちで場所を抑えなければならないこともあります。新郎新婦にとって好きな場所を選べるのはメリットですが、参列した友人や親族のことを考慮して会場はなるべく近くを選ぶといいでしょう。
親族には送迎サービスが利用できたとしても、友人は自分たちの足で移動しなければならないことも。どうしても遠方の会場を選びたいなら、送迎の手配もしっかり行う必要があります。
神前式に友人が参列できない場合の2つのパターン
神前式に友人を招待したくても、式場やその他の理由でその望みが叶わないこともあります。参加できない場合には、おもに2つのパターンが選択可能です。
- 参列はNGでも見学はOKの場合がある
- 友人の招待は披露宴からにする
どちらのパターンを選択するのがベストなのか、じっくり検討してみてください。
参列はNGでも見学はOKの場合がある
神殿が広い神社によっては、親族以外の人のために「見学席」を設けているケースがあります。新郎新婦に親しい人々が、神前式の進行を見守るという形式です。
ただし、見学者が式に直接関わることはできないほか、写真撮影もNGという神社がほとんどであるため、友人を招待した場合は神社のルールをあらかじめ伝えておきましょう。
また、神前式では新郎新婦が控室から式場に向かうために神主と巫女の後に続いて参道を歩く「参進」という儀式があり、これは外国人観光客にも大人気の晴れやかな儀式となっています。
参進の際には参道から誰でもが祝福の声を挙げることができるため、友人には参道に待機してもらうようにするのがおすすめです。
友人の招待は披露宴からにする
式場側の事情や親族の反対などで、神前式にどうしても友人を招待できない場合は披露宴からの参列となります。
親しい友人に、少しでも神前式の雰囲気を味わってもらうためには、披露宴の演出に工夫するとよいでしょう。
たとえば、神社側の承諾を得た上で神前式を動画撮影し、ハイライトを披露宴のスクリーンに流せばこの上ない演出となります。神前式で着用した白無垢や色打掛を着用したまま入場すれば、衣装も披露できます。
工夫次第で神前式の雰囲気を披露宴で伝えられるので、ぜひ事前にいろいろな方法を検討してベストな挙式スタイルを選んでみてください。
関連記事:神前式の招待状は原則親族にのみ渡す。文例やマナー、疑問も解説
神前式に参列する友人へ伝えておきたい服装や作法のマナー
神前式は神様の前で行う厳粛な儀式なので、きちんとしたルールがあり、参列者にも従うことが求められます。神前式に参列する友人に伝えておきたいマナーを3つに分けて解説します。
- 和装の場合
- 洋装の場合
- 神前式の作法と注意点
ただし、あまり押し付けがましく伝えると友人によく思われない可能性があるので、聞かれたら答えるくらいの気持ちでいたほうがいいかもしれません。
和装の場合
神前式に参列する友人が未婚女性の場合、和装なら振袖か訪問着が好ましいとされています。既婚女性なら和装は色留袖か訪問着が原則で、重ね襟を付けるとお祝い事の場にふさわしい装いとなることでしょう。
友人が男性の場合には、黒紋付または色紋付に羽織袴など無地の着物がふさわしい装いといえます。
なお、友人が若い男性なら無理に和装をする必要はありません。
洋装の場合
神前式に参列する友人は、特に和装にこだわる必要はなく洋装でも問題はありません。ただし、あまりカジュアル過ぎない服装がふさわしいでしょう。
女性の場合は露出を控えめにするのが望ましいため、ノースリーブタイプのワンピースを着用する場合にはストールやボレロを羽織るのが一般的。
男性の場合はベスト付きのダークスーツが基本で、胸にはポケットチーフを入れておくのがお勧めです。
神前式での作法と注意点
神前式で神殿に上がる際には「素足厳禁」というルールがあります。女性は肌色のストッキング、男性は黒か濃紺の清潔な靴下を着用しましょう。
また、女性は強い香りのする香水は控えるのがマナーです。
他にも、
- 歩くときに足音を立てない
- 遅刻厳禁、式の途中参列不可
- 写真撮影禁止
などのルールがあります。
また、ほとんどの神社の神殿には冷暖房が整備されていないため、各自が気候に適した対策をおこなう必要があります。
神前式に友人を招待する際によくある疑問
神前式に友人を招待する場合によくある疑問を2つ紹介します。
- ご祝儀をもらうタイミングはいつ?
- 挙式や披露宴に参列しない友人が神前式を「見に行くだけ」は可能?
それぞれの回答を見てみましょう。
ご祝儀をもらうタイミングはいつ?
友人が神前式に参列する場合、いつ御祝儀をもらうのがいいのか悩んでしまうところです。一般的に、神前式では披露宴や食事会が始まる前に受付を行います。
友人にタイミングを聞かれたら、神前式後の受付時に渡してもらうように伝えるといいでしょう。ただし、場合によっては挙式前に受付を行うケースもあります。
どのタイミングで受付を行うのか早めに確認しておき、友人に聞かれたら応えられるように準備しておきましょう。
挙式や披露宴に参列しない友人が神前式を「見に行くだけ」は可能?
挙式や披露宴に友人を招待しない場合、神前式を見てもらうだけという選択が可能です。
参進の儀(花嫁行列)は、神社に来ている一般の参拝客も見学できます。友人が見に行くのに問題はないでしょう。
ただし、儀式については見られない可能性があるので、親族のみで神前式を行う場合は「見に行ってもいいか」と聞かれたら見学できない旨を伝えておくことをおすすめします。
まとめ:神前式に友人を招待するためにしきたりや注意点を理解しよう
神前式に友人が参列できるかについては、神社によります。近年は挙式スタイルも多様化しており、友人の参列も可能としている神社が増えています。
その一方で、昔ながらのしきたりを重視して親族のみで式を執り行うところも。友人を神前式に招待したい場合は、参加が可能な神社を選ぶ必要があります。
ただし、参列できたとしても友人は見学しているだけのケースがほとんどなので、無理に招待しないほうがいいでしょう。友人が参列しない場合は、披露宴に和装で入場したり、神前式の様子を映した映像を流したりと工夫できます。新郎新婦や親族、友人など皆が一番良い形で挙式できる方法を選んでみてください。
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