結婚式で母親が着る黒留袖のマナーとは?親族の場合や柄の選び方、着こなし方を解説

投稿日:2024年2月29日 更新日:

新郎新婦の母親が「黒留袖」を着用するのは、日本の結婚式での伝統的な風習です。

しかし、初めて黒留袖を着てわが子の結婚式を迎える母親にとっては、結婚式当時に着る黒留袖のしきたりなどを事前に知らないとなにかと不安に感じることでしょう。

そこで、新郎新婦の母親のために、黒留袖のマナーや選び方について詳しく紹介します。

この記事を読めば、結婚式当日には不安なく余裕を持って迎えられることでしょう。ぜひ黒留袖を着用する際の参考にしてみてください。

 

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黒留袖の基本知識

黒留袖は一般的に第一礼装ともいわれているほどで、既婚女性の着物の中でとても格式が高い着物です。おごそかな儀式を飾る黒留袖は、既婚女性にとって大切な衣装といえます。

この項目では、黒留袖に関する基本的な知識を紹介します。

黒留袖のTPO

黒留袖はいわば日本版フォーマルドレスであり、格式のあるお祝い事に既婚女性が着るしきたりがあります。お祝い事でも格式が高い儀式が結婚式で、花嫁花婿の母親は黒留袖を着て挙式に出席するのが一般的です。

結婚式に出席する場合は、男性の紋付と同じように家紋を付けた黒留袖を着ることになります。黒留袖に家紋があることで「〇〇家」の主婦であることを参列者に示す意味があります。

黒留袖のマナーとルール

黒留袖は、古くからの伝統を継承している既婚女性が着る礼服だけに、いくつかのマナーと守るべきルールがあります。

黒留袖は日本の伝統文化を象徴している衣装であり、昔には存在していなかったイヤリングやネックレスなどの装飾品を付けるのはタブーとされています。

そもそも、このような装飾品は黒留袖だけでなく着物には似つかわしくありません。身に付けるのは、既婚女性であることを示す結婚指輪くらいにしておくのが無難でしょう。

手元のアートネイルも黒留袖には合いません。ベージュピンクなどの控えめなマニキュアを選ぶのがおすすめです。

また、黒留袖を着る際には白い長襦袢にすることが基本のルールです。黒留袖の黒色と襟元から少しだけ見える純白の長襦袢による黒白のコントラストは、礼装の美しさを一層引き立ててくれます。

結婚式で黒留袖を着る意味

結婚式など晴れのお祝いごとで既婚女性が着る黒留袖は、日本の伝統的な着物文化を象徴する礼装です。結婚式での黒留袖は、原則として新郎新婦の母親または親戚縁者の既婚女性や仲人夫人が着る習わしとなっています。

黒留袖は、かしこまった格別の儀式の際に招待客をお迎えする側の既婚女性が着る礼装であり、参列していただいた方へお礼の意味が込められています。

したがって、招待された側の女性が黒留袖を着るのは本来の意味からするとご法度です。

結婚式で着用する黒留袖ふさわしい柄の選び方

結婚式で黒留袖を着用する場合は、柄の選び方が重要です。

ここでは、選ぶべき柄を立場別と年代別に紹介します。

立場別

結婚式で黒留袖を着用するのは、新郎新婦の母親か親族、仲人婦人です。それぞれどんな柄を選んだらいいのか見てみましょう。

新郎新婦の母親の場合

新郎新婦の母親として黒留袖を着用するなら、格調の高い柄を選ぶのがおすすめです。具体的には、以下のような種類が挙げられます。

  • 鶴や亀
  • 松竹梅や菊
  • 鳳凰や孔雀

縁起のいい吉祥文様の柄や刺繍が入っているといいでしょう。

新郎新婦の親族の場合

祖母や叔母も、黒留袖を着用できます。ただし、新郎新婦の母親や仲人婦人よりも格調が高い黒留袖は選ばないのがマナーです。

吉祥文様であっても、柄の色や数が控えめのものがおすすめです。高級感のある金銀の箔や刺繍も、なるべく控えめのものが無難でしょう。

仲人婦人の場合

仲人婦人は、主役を引き立てる黒留袖の柄を選ぶのがおすすめです。仲人という立場にふさわしい、なるべく落ち着いた柄を選ぶといいでしょう。

たとえば、松、梅、菊の花や御所車など。色味も淡いものが適しています。

年代別

黒留袖を着用する年代別に、選ぶとよい柄を紹介します。

20代・30代の場合

20代・30代は、可愛らしい雰囲気の黒留袖がおすすめです。大きな裾模様が膝上くらいまで入っているデザインは、華やかで若々しさを引き立てます。

柄は明るい色の花柄がぴったり。なお、帯を選ぶ際も、花模様が入った華やかなタイプを選ぶといいでしょう。

40代・50代の場合

40代・50代は、好みの雰囲気で柄を選ぶといいでしょう。若々しさを出すなら、淡い色合いの花柄がおすすめです。落ち着いた雰囲気を出すなら、鶴や亀などの柄がぴったり。

裾模様の柄が膝辺りまで入っている黒留袖なら、どんな柄でもシックに決まります。

60代以上の場合

60代以上の方が黒留袖を着用する場合は、柄が膝下までのものがおすすめです。柄が下のほうに入っていると、より落ち着いた雰囲気になります。

牡丹や菊などの花柄を選べば、大人らしい華やかさも演出できるでしょう。

結婚式での黒留袖の着こなし方

身内の結婚式で初めて黒留袖を着る女性にとって、どのように着こなしたらいいのか迷ってしまう方も多いはず。

ここでは、黒留袖の着こなし方について、以下の項目別に紹介します。

  • 着用時の髪型
  • 髪飾り
  • メイク
  • 小物

どのようなポイントを押さえたらいいのか知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

着用時の髪型

黒留袖を着る時は、アップスタイルの髪型にしましょう。毛先のカールなどは控え、あくまでも着物によく似合うアップヘアーが原則です。

前髪は、前に下ろすよりもアップにしておく方がすっきりと見えます。

お辞儀をした際に髪が乱れることのないように、ヘアピンやネットを使うといいでしょう。

髪飾り

黒留袖に適している髪飾りは、日本の伝統工芸品として有名な本べっ甲細工や漆塗りのものといわれています。

しかし、これらは高額なものが多いので、上品に感じられるものであれば材質にこだわる必要はありません。着物の柄に合わせた色で、パールや珊瑚などのアクセサリーが付いたものもおすすめです。

なお、髪飾りの価格相場は、本べっ甲細工などの高級品では約6万円~8万円とかなり高額です。これに特別な装飾が加わると、プラス数万円が加算されることになります。

本べっ甲細工でも玉かんざしは約2万円程度ですが、プラスチック製かんざしなら数千円程度と手に入れやすい価格です。予算に合わせて選択するのが望ましいでしょう。

メイク

黒留袖を着た時のメイクでは、以下の3つを押さえるのがおすすめです。

  • しっかり目のメイク
  • 色づかいに配慮する
  • ファンデーションと目元口元がポイント

いつもよりもしっかり目のメイクを心がけ、多くの色を使いすぎるメイクは禁物です。

身内の晴れの舞台なので、ナチュラルメイクよりも上品さが感じられるメイクが理想です。華やかさを出そうとラメやパールなどを使うのも、気品を損なうのでやめておくのが無難でしょう。

ファンデーションの色は少し明るめのものを選び、立体感が出ないようにします、

目元は少し太めのアイラインにして、眉はふんわりとした丸みのある感じに。口紅はローズやブラウンレッド色を選んで、派手さを押さえて上品な仕上がりを心がけましょう。

黒留袖を上手に着こなすには、どのような帯を選ぶのかが重要です。せっかく柄や色合いのよい黒留袖であっても、肝心の帯が着物に合っていなければ台無しになるからです。

黒留袖用の帯の色は、慶事に合うおめでたい色として「白・金・銀」の3色のいずれかが基本です。3色の中から黒留袖の柄に最もよく合う色を決めるといいでしょう。

帯揚げ(帯の上辺を飾る布)は、黒い着物によく映える白を選ぶのが無難です。金や銀の糸で刺繍が施されているものを選んでもよいでしょう。

帯を引き立たせる役目を持つ帯締め(帯を締める紐)は、帯揚げと同じく白い色にするのがベストです。なお、白地であれば柄が入っているものでも構いません。

小物

黒留袖を着用する際にマストの小物は、草履とバッグです。草履とバッグは一式として考えましょう。

共に同じ色あいで同じようなデザインのものをセットで揃えるのが原則。色は帯と同じく「白・金・銀」がスタンダードで、この3色の中から選ぶのが無難です。

バッグを選ぶ際には、当日バッグに入れる小物類を事前に揃えておくといいでしょう。小さめだと必要なものが全部入らないことがあるので、大きめのバッグを選んでおくと安心です。

また、黒留袖には末広(祝儀扇)を装飾品として持っておくことをおすすめします。末広は、帯に差すか、帯よりも高い位置で手に持つのがマナーです。あおぐのはマナー違反なので注意しましょう。デザインは、黒留袖に合わせて黒骨に金紙または金紙のものを選びます。

黒留袖に関するよくある疑問

黒留袖の着用に関するよくある疑問とその答えを2つ紹介します。

  • 黒留袖は未婚女性が着用してもいい?
  • 黒留袖はいつ着るの?結婚式以外でも着用できる?

気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

黒留袖は未婚女性が着用してもいい?

黒留袖を着用できるのは、原則として既婚女性のみです。未婚女性は着用できません。結婚式で黒留袖を着るのは、新郎新婦の母親、親族(祖母、叔母など)、仲人婦人です。

なお、色留袖は未婚女性でも着用可能です。

黒留袖はいつ着るの?結婚式以外でも着用できる?

黒留袖は結婚式で着るのが一般的です。昔は、お宮参りで赤ちゃんを抱っこする父方の祖母が黒留袖を着用するのが基本でした。最近では簡略化される傾向にあり、訪問着が主流になっています。

しかし、正式な黒留袖を着用してお宮参りに参加するのもいいでしょう。写真に残るので、黒留袖姿をいつでも見返せます。

黒留袖をレンタルするのにおすすめのお店

黒留袖のレンタル費用は、3~4万円くらいまでが相場です。レンタルは、普及品から高級品まで揃っており好みに合わせて選べる点が魅力です。

しかし、レンタル店選びで失敗しないように、以下のポイントを押さえるといいでしょう。

  • 実績があり、一般の評価が高く信頼できるレンタル店であること
  • 種類が豊富に揃っていること
  • 予約から返却までのスケジュールが明確に表示されていること
  • 金額が安価過ぎ高額過ぎのどちらでもなく適正価格であること
  • 利用前後のサービスやサポートのシステムが整っていること

近年はネットでのレンタルショップも増えていますが、大事な結婚式で着る黒留袖は、やはり実物を見て決めるのが無難です。

できれば実店舗に足を運んでレンタルしたいものです。

 

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まとめ:大切な結婚式は印象に残る黒留袖で迎えよう

黒留袖を着て母親という立場で迎える晴れの結婚式。結婚式当日が不安な母親の方は、黒留袖に関する以下のポイントを押さえておくといいでしょう。

  • 黒留袖は既婚女性が着る格式ある礼装着物
  • ネックレス、イヤリングなど装飾品はNG
  • 代表的種類は「鳳凰・絽・菊」
  • レンタルのポイント
  • 髪型はアップスタイルで
  • メイクはしっかり目、色づかいと目元口元に注意
  • 「帯・帯揚げ・帯締め」の選択ポイント
  • 草履とバッグは一式で、マスクはシルク地に

長く記憶に残る結婚式にするためにも、印象に残る晴れやかな黒留袖で結婚式当日を迎えましょう。

 

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